甲状腺イメージ
  • 甲状腺は首の前面にあり甲状腺ホルモンを作っています。甲状腺ホルモンの過剰や不足で様々な体調不良が出現します。甲状腺の病気の代表はバセドウ病と橋本病で、比較的よくある疾患です。
  • 特に女性に多く、女性の10人に1人以上は橋本病があると言われています。
  • 体調不良が続く場合や首の前面が腫れている場合は甲状腺の病気の可能性が考えられますので一度ご相談ください。

甲状腺とは

甲状腺とは首の前面(のどぼとけ付近)にある5cm程の臓器です。羽を広げた蝶のような形をしています。甲状腺ホルモンというホルモンを作ることが甲状腺の働きで、甲状腺ホルモンは体の代謝を調節しています。

主な甲状腺の病気について

甲状腺の病気は以下の3種類に分けられることが多いです。

  • ①甲状腺ホルモンが過剰になる(甲状腺機能亢進症)
  • ②甲状腺ホルモンが不足する(甲状腺機能低下症)
  • ③甲状腺に腫瘍ができる

それぞれについて、どのような症状が出るか、どのような病気が考えられるか説明します。

甲状腺ホルモンが過剰になる(甲状腺機能亢進症:バセドウ病が多いです)

甲状腺機能亢進症の症状

甲状腺ホルモンは体の代謝を調節していますので、これが過剰になった場合は代謝が必要以上に亢進します。安静にしていても常に運動したような状態になっていますので、脈が速くなり動悸がしたり、汗が多くなったり、しっかり食べているのに体重が減ったりします。

甲状腺機能亢進症の原因

甲状腺ホルモンが過剰になる原因としてはバセドウ病が多いです。女性に多い疾患ですが男性に発症することもあります。遺伝要素も大きく、血のつながった方に甲状腺疾患がある人には起こりやすいです。

甲状腺機能亢進症の検査

血液検査で甲状腺ホルモンが過剰であることを確認します。バセドウ病で高くなる血液検査の項目があるのでそれが高いことが確認されたらバセドウ病の診断となります。甲状腺が腫れることも多く、超音波で甲状腺の状態を確認します。

甲状腺機能亢進症の治療

飲み薬で甲状腺ホルモンを正常化させます。飲み薬で治療が難渋する場合は放射線治療や手術を選択することもあります。

甲状腺ホルモンが不足する(甲状腺機能低下症:橋本病が多いです)

甲状腺機能低下症の症状

代謝を調節する甲状腺ホルモンが不足しますので代謝が悪くなります。寒がりになったり、便秘になったり、疲れやすくなったりします。血液検査でコレステロールが高くなることもあります。

甲状腺機能低下症の原因

甲状腺ホルモンが低下する原因としては橋本病が多いです。橋本病は女性に多い疾患で、女性の10人に1人以上は橋本病があると言われています。ただ橋本病があっても甲状腺ホルモンが正常に維持されていることも多く、このような状態であれば甲状腺機能低下症の症状は出ず治療は必要ありません。

甲状腺機能低下症の検査

血液検査で甲状腺ホルモンが不足していることを確認します。橋本病で高くなる血液検査の項目があるのでそれを確認します。甲状腺が腫れることも多く、超音波で甲状腺の状態を確認します。

甲状腺機能低下症の治療

飲み薬で不足した甲状腺ホルモンを補充します。

甲状腺に腫瘍ができる

甲状腺腫瘍の症状

腫瘍が大きいと首の前面の腫れを自覚されることもありますが、小さな腫瘍では自覚症状はありません。他の画像検査をした時に偶然甲状腺に腫瘍を指摘されて見つかることが多いです。

甲状腺腫瘍の検査

腫瘍が見つかった場合まず重要なのは、腫瘍が癌ではないかを判断することになります。超音波で腫瘍の性状を確認することで癌の可能性が高いかどうかを判断します。さらに精密検査が必要と考えられた場合は細胞診(腫瘍に針を刺して細胞を採取する)検査を行います。血液検査の結果も参考にします。

甲状腺腫瘍の治療

手術が必要と思われる場合(腫瘍が癌かどうか、腫瘍の大きさがどの程度か、などで判断)は手術を行います。その他の場合は経過観察していきます。