- 糖尿病の注射治療にはインスリンとGLP-1受容体作動薬の2種類があります。
- 注射製剤の種類は多く、製剤の調整や飲み薬の併用をすることで注射回数を減らした負担の少ない治療を目指すことが可能です。
- 血糖測定や24時間血糖を測定するセンサーを使用することで、より良い治療を行うことが出来ます。
糖尿病の注射治療の種類
糖尿病の注射治療にはインスリンとGLP-1受容体作動薬の2種類があります。
インスリン
体から出ているインスリンの働きが低下しているので注射で補います。インスリンの飲み薬は無いので、インスリンそのものを補うためには注射が必要になります。インスリン分泌が低下している1型糖尿病の方はインスリン注射が必須です。2型糖尿病の方では飲み薬でコントロールが難しい方などでインスリン注射を行います。
下の図のように、体の中では食事を食べた時に血糖値が上がらないようにインスリンが出ています。インスリンは血糖値を下げるのみではなく生きていくために重要な役割をしているので、食事と関係ないインスリンも24時間出ています。
食事時のインスリンが足りない方は食事の時に短時間で効くインスリンを注射し、24時間出ているインスリンが足りない方は1日1回24時間ゆっくり効くインスリンを注射します。両方足りない方は両方のインスリンを注射します。
1型糖尿病の方では1日4回(食事の回数+1回)のインスリン注射が必要なことがほとんどですが、2型糖尿病の方は他の薬とうまく組み合わせインスリン製剤の種類を調整することで、1日1回など注射の回数を減らして管理できることもあります。
GLP-1受容体作動薬
GLP-1受容体作動薬は膵臓からのインスリン分泌を助ける作用、食欲抑制作用、体重減少作用などがあり、血糖値の低下のみでなく肥満の改善も期待できます。GLP-1受容体作動薬の飲み薬も登場し、今後さらに糖尿病治療の中心となっていくと思われます。
1日1回打つ注射、週に1回で良い注射、1回の注射でインスリンとGLP-1受容体作動薬が混合されている注射、と選択肢も多く、その方の状態によって有効かつ負担が少ないと思われる治療を選択します。
※当院ではGLP-1製剤は糖尿病がある方のみ処方を行っております。ダイエット目的の自由診療でGLP-1製剤を処方することは致しておりません。
血糖測定について
インスリン、GLP-1受容体作動薬の注射をされている方は保険で自己血糖測定を行うことが出来ます。指から少し血を出し数秒で血糖値が測定できます。日常生活の中で血糖値を測定することで自己管理につながります。
持続的に血糖値を測定し24時間の血糖変動を把握できるセンサーも出てきており、インスリンの注射をされている方は保険適応になっています。フリースタイルリブレなど複数の機器があります。これにより自己血糖測定のみでは分からなかった低血糖の危険性や血糖上昇が強い時間帯の把握が出来るようになり、より良い治療につなげることが出来ます。